ラグジュアリーブランド「シャネル(CHANEL)」がカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の後継者を発表。その後継者には長年にわたりカールの右腕として活躍してきたヴィルジニー・ヴィアールを抜擢。彼女が新クリエイティブ・ディレクターを務めることになりました。この記事ではカール・ラガーフェルドとヴィルジニー・ヴィアールについてご紹介します。
カール・ラガーフェルドとは?
ドイツのハンブルグ出身のカール・ラガーフェルドは、14歳でパリに移住。17歳で「ピエール・バルマン」で働き始めた後は「ジャン・パトゥ」「クリツィア」「シャルル・ジョルダン」「ヴァレンチノ」を渡り歩き、フェンディやクロエのデザイナーを経て1983年にシャネルのデザイナーに就任。ココ・シャネルの没後、大きく低迷したシャネルを見事に復活させました。彼が手掛けたコレクションはのひとつ「シャネルジャケット」はブランドの代表作となり、今もなお世界中の女性を魅了しています。また彼は自身のブランド「カール・ラガーフェルド」も持っていました。自身のラインでは明るい色を基調にしたカーディガンやジャケットにソフトなニットウェアを組み合わた「知的なセクシーさ」を表現し、人気を博していました。
カール・ラガーフェルドの死去を受け、後継者には、彼の右腕として30年来ともに仕事をしてきたクリエイティブ・スタジオ・ディレクターのヴィルジニー・ヴィアールが任命されました。今後はファッション・コレクション部門のアーティスティック・ディレクターとしてオートクチュールとウエア、そしてアクセサリー部門を統括。ファッション・イメージ部門は同じく30年以上統括してきたファッション・イメージ・アーティスティック・ディレクターのエリック・フルンデール(Eric Pfrunder)の続投が決定しました。
シャネル最高経営責任者・アラン・ヴェルタイマーは、「ラガーフェルド氏と30年以上にわたって仕事をしてきたチームと、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=ファッション部門プレジデントが率いる全てのチームが、『シャネル』の創造性と活力をさらに発展させてくれるものと確信している」とコメントを出しました。
後継者のヴィルジニー・ヴィアールとは?
シャネルを率いる新デザイナーに就任したヴィルジニー・ヴィアールはフランス・リヨン市出身。地元の学校で舞台美術を学び、衣装デザイナー・ドミニク・ボルグ(Dominique Borg)のアシスタントとしてデザイナーのキャリアをスタート。1987年にシャネルのオートクチュール刺繍部門にインターンとして入社し、やがて刺しゅう部門の責任者となります。しかし1992年にラガーフェルドがクロエ(Chloé)のデザイナーに就任したことで、彼女も一緒にクロエに移籍し、5年間在籍。2000年にラガーフェルとともにがシャネルに復帰し、オートクチュールやウエア、アクセサリー部門を統括。ラガーフェルはヴィアールのことを周囲に「私の右腕であり、左腕でもある」と語るほど信頼していました。一方、ヴィアールは英紙「デイリー・テレグラフ(THE DAILY TELEGRAPH)」のインタビューで「毎日会っているし、話している。彼から携帯電話にスケッチが送られてくることもよくある。まるで共犯者のように緊密に連絡を取り合っている」とラガーフェルドについて話しています。お互いがお互いのことを信頼しリスペクトしてきたから今日のシャネルがあるのかもしれません。
そしてパリで開催された2019年春夏オートクチュールコレクションでは、体調を崩して欠席したヴィアールに代わり、ショーを成功裏に終えました。
ヴィルジニー・ヴィアールの初コレクション
カール・ラガーフェルドの後継者として初めてヴィルジニー・ヴィアールの単独コレクションが2019年5月にパリで発表されました。2020年クルーズコレクションは「旅」がテーマ。19世紀の駅舎を再現したグラン・パレの会場には、シャネルのアイコンコラーであるブラック、エクリュ、ホワイトをはじめ、ピンクやグリーン、モーヴなど色とりどりのカラーをベースに、花の刺繍をあしらったロングドレスや駅の時計のデザインを施したウエア、デニムやレザーの旅行用バッグなど個性豊かなコレクションが登場し、ゲストたちはシャネルが提案する空想の旅を楽しんでいました。
また、この日のコレクションには今シーズン、シャネルのアンバサダーを務める元SMAPの木村拓哉と歌手の工藤静香の次女として話題のモデルKōkiがランウェイに登場。見事にランウェイデビューを飾り、ヴィルジニー・ヴィアールの初めての単独コレクションを盛り上げました。
まとめ
偉大な功績を残したカール・ラガーフェルドの後継者に任命されたヴィルジニー・ヴィアールを筆頭に新体制となったシャネル。最高経営責任者であるアラン・ヴェルタイマーは「『シャネル』の創造性と活力をさらに発展させてくれるものと確信している」と期待を寄せ、「ヴィルジニー・ヴィアールは、カブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)とカールの遺産を継承してくれるだろう」とエールを贈るコメントを発表。その期待通り、ヴィルジニー・ヴィアールは5月にパリで開催された単独となる初コレクションは盛大に終わり、ゲストたちは彼女の手掛けた空想の旅の世界に魅了されました。ますます勢いに乗る新体制のシャネルから目が離せません。
Photo by:excite,wwdjapan,CHANEL